[弁護士コラム 13]賃借人が破産した時の対応
賃借人が破産した場合には,退去を求められますか?
賃借人が破産をしたという場合には,今後の家賃の支払いに不安があるので,オーナーとしては,直ちに退去して貰いたいと思うかもしれません。
この場合に,契約を解除して,建物からの退去を求めることができるのでしょうか。
この点,契約書に「賃借人が破産した場合には,契約は当然解除となる」との記載があるような場合に,オーナーはこの条文を根拠にして契約解除ができるのかが問題になります。 しかしながら,通常は,賃借人が破産をしたということのみを根拠として賃貸借契約を解除することはできません。
同様に,最高裁昭和43年11月21日判決は「建物の賃借人が,破産宣告の申立を受けたときは,賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は,賃貸人の解約を制限する借家法1条の2の規定の趣旨に反し,賃借人に不利なものであるから同法6条により無効と解すべきである」と判決しています。
これは,旧借家法時代の判決ですが,その趣旨は現在の借地借家法でも該当します。
家賃がきちんと支払われているのであれば,破産をしたとしてもオーナー側に不利益はないので,契約の解除を認める必要はないからです。
賃借人が,将来の家賃の支払いを不安に思っていたとしても,それは抽象的なものであって,いまだ保護すべき不安とは言えません。
また,実際に,かような特約が有効ということになりますと,破産者が住むところがなくなり,社会政策的にも問題になるということもあろうかと思います。
もっとも,破産をしているというだけではなくて,家賃を滞納しているような事案では,当然,家賃滞納を理由に契約を解除することはできます。 これは破産をしているかどうかということとは無関係に認められるものです。
この場合に,契約を解除して,建物からの退去を求めることができるのでしょうか。
この点,契約書に「賃借人が破産した場合には,契約は当然解除となる」との記載があるような場合に,オーナーはこの条文を根拠にして契約解除ができるのかが問題になります。 しかしながら,通常は,賃借人が破産をしたということのみを根拠として賃貸借契約を解除することはできません。
同様に,最高裁昭和43年11月21日判決は「建物の賃借人が,破産宣告の申立を受けたときは,賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができる旨の特約は,賃貸人の解約を制限する借家法1条の2の規定の趣旨に反し,賃借人に不利なものであるから同法6条により無効と解すべきである」と判決しています。
これは,旧借家法時代の判決ですが,その趣旨は現在の借地借家法でも該当します。
家賃がきちんと支払われているのであれば,破産をしたとしてもオーナー側に不利益はないので,契約の解除を認める必要はないからです。
賃借人が,将来の家賃の支払いを不安に思っていたとしても,それは抽象的なものであって,いまだ保護すべき不安とは言えません。
また,実際に,かような特約が有効ということになりますと,破産者が住むところがなくなり,社会政策的にも問題になるということもあろうかと思います。
もっとも,破産をしているというだけではなくて,家賃を滞納しているような事案では,当然,家賃滞納を理由に契約を解除することはできます。 これは破産をしているかどうかということとは無関係に認められるものです。
賃借人が破産した場合の敷金・滞納家賃の処理はどうなるのでしょうか?
まず,滞納家賃ですが,破産手続開始決定時までの賃料債権は「破産債権」とされ,破産手続きの中で,破産管財人が集めた破産財団から、他の債権者と案分をして配当を受けます。
破産財団がなければ,配当を受けることはできません。
滞納家賃というのは,銀行の負債などの特に他の債権者より優先して優遇しなければいけない理由はないからです。
これに対し,破産手続開始決定後から契約解除までの賃料債権は「財団債権」となります。これは他の債権者よりも優先して配当を受けることができます。もっとも,破産財団がなければ,優先権があっても,配当を受けることはできません。
なお,契約解除後,建物を明け渡すまでの間は,賃料相当の損害金が発生しますが,これについても原則として財団債権に該当すると考えられます。
次に敷金の扱いですが,敷金は滞納家賃等の賃貸借から生じる債権の担保の意味があります。
ですから,賃借人が破産したからといって,担保の意味が消滅するのではオーナー側に酷なことになります。
抵当権等の担保権は,債務者が破産した場合にでも,優先権があるとされています。
むしろ,債務者が破産するような場合に備えて,優先的な担保権を設定するというのが当事者の意思だからです。
そこで,敷金については,他の一般債権者より優先権があります。すなわち賃貸人は,滞納家賃等があれば,敷金から相殺をすることが可能です。
もっとも,滞納額に充当して残額がある場合には,破産管財人に返還が必要です。
破産財団がなければ,配当を受けることはできません。
滞納家賃というのは,銀行の負債などの特に他の債権者より優先して優遇しなければいけない理由はないからです。
これに対し,破産手続開始決定後から契約解除までの賃料債権は「財団債権」となります。これは他の債権者よりも優先して配当を受けることができます。もっとも,破産財団がなければ,優先権があっても,配当を受けることはできません。
なお,契約解除後,建物を明け渡すまでの間は,賃料相当の損害金が発生しますが,これについても原則として財団債権に該当すると考えられます。
次に敷金の扱いですが,敷金は滞納家賃等の賃貸借から生じる債権の担保の意味があります。
ですから,賃借人が破産したからといって,担保の意味が消滅するのではオーナー側に酷なことになります。
抵当権等の担保権は,債務者が破産した場合にでも,優先権があるとされています。
むしろ,債務者が破産するような場合に備えて,優先的な担保権を設定するというのが当事者の意思だからです。
そこで,敷金については,他の一般債権者より優先権があります。すなわち賃貸人は,滞納家賃等があれば,敷金から相殺をすることが可能です。
もっとも,滞納額に充当して残額がある場合には,破産管財人に返還が必要です。