[弁護士コラム 14]供託金取戻請求権の消滅時効の起算点
供託金は取り戻せるのですか?
債務者が支払いをしようとしても,債権者がこれを受領しない場合,或いは,債権者が誰かわからない場合に,供託をして,国にかわりに債務のを弁済を受領してもらうことができます。
支払いをする側としても,いつまでも支払いをできないということになると,法律関係が不安定になってしまうからです。
もっとも,弁済供託においては,供託をした者は,供託物の取戻しをすることができることになっています。
しかしながら,債権者が供託を受諾したとき,又は供託を有効と宣告する判決が確定したときは,取戻請求権は消滅することになっています(民法496条1項)
支払いをする側としても,いつまでも支払いをできないということになると,法律関係が不安定になってしまうからです。
もっとも,弁済供託においては,供託をした者は,供託物の取戻しをすることができることになっています。
しかしながら,債権者が供託を受諾したとき,又は供託を有効と宣告する判決が確定したときは,取戻請求権は消滅することになっています(民法496条1項)
供託金の取り戻しに時効はないのでしょうか?
供託金の取り戻しも,ひとつの債権ですので,消滅時効の適用があります。
時効期間が経過してしまうと,取り戻しができなくなります。
この時効期間は,民法の一般原則どおり10年とされています。
問題は,この10年という時効期間はいつから進行するのでしょうか。消滅時効は,原則として「権利を行使することを得る時」より進行します。
そこで,供託金の取り戻し請求の場合には,この「権利を行使することを得る時」というのがどの時点を指すのかが問題となります。
この点,判例(最高裁昭和45年7月15日判決)では,弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効の起算点は,「供託の基礎となつた債務について紛争の解決などによつてその不存在が確定するなど,供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時」とされています。
弁済供託においては供託の原因となった事実関係をめぐつて債務者(供託者)と債権者(被供託者)との間において紛争となっているケースが多いと思われます。
そういった場合に,その紛争が継続している間においては,両当事者のいずれかが供託した金員の払渡を受けてしまうと,相手方の主張を認めて自己の主張を撤回したものと思われる可能性があります。
そこで,紛争が解決するまでの間は,供託物払渡請求権の行使を,実際に行うように期待することは事実上は不可能と言えます。
そのため,消滅時効が供託の時から進行するとしてしまっては当事者に酷な結果となってしまうからです。 なお,上記は,債権者が誰かわからないといういわゆる「債権者不確知」の場合も同様とされています(最高裁平成13年11月27日判決)。
時効期間が経過してしまうと,取り戻しができなくなります。
この時効期間は,民法の一般原則どおり10年とされています。
問題は,この10年という時効期間はいつから進行するのでしょうか。消滅時効は,原則として「権利を行使することを得る時」より進行します。
そこで,供託金の取り戻し請求の場合には,この「権利を行使することを得る時」というのがどの時点を指すのかが問題となります。
この点,判例(最高裁昭和45年7月15日判決)では,弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効の起算点は,「供託の基礎となつた債務について紛争の解決などによつてその不存在が確定するなど,供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時」とされています。
弁済供託においては供託の原因となった事実関係をめぐつて債務者(供託者)と債権者(被供託者)との間において紛争となっているケースが多いと思われます。
そういった場合に,その紛争が継続している間においては,両当事者のいずれかが供託した金員の払渡を受けてしまうと,相手方の主張を認めて自己の主張を撤回したものと思われる可能性があります。
そこで,紛争が解決するまでの間は,供託物払渡請求権の行使を,実際に行うように期待することは事実上は不可能と言えます。
そのため,消滅時効が供託の時から進行するとしてしまっては当事者に酷な結果となってしまうからです。 なお,上記は,債権者が誰かわからないといういわゆる「債権者不確知」の場合も同様とされています(最高裁平成13年11月27日判決)。