[弁護士コラム 23]非嫡出子の認知と親権
非嫡出子を認知すると親権者になるのでしょうか?
非嫡出子は婚姻関係にない男女の間で産まれた子供です。
両親が婚姻関係にないために,親権が若干複雑になります。
まず,母との親子関係は分娩により当然に発生するものと解されており,母は当然に非嫡出子の親権者となります。
しかしながら,非嫡出子を認知した父は,父母の協議で父を親権者と定めない限り親権者となることはできません。
では,非嫡出子の単独親権者が死亡した場合にはどうでしょうか?認知した父親が当然に親権者となるのでしょうか?
この点の親権の取扱いについては,「未成年者に対して親権を行うものがないとき」にあたり,後見が開始するとの考えもありえます。
しかしながら,家庭裁判所の実務では,後見開始後でも後見人選任前であれば,家庭裁判所の親権者指定又は変更をすることができるとされています。
すなわち,単独親権者である母親が死亡する前に父親が認知していたには,親権者の「変更」となり,母親が死亡してから父親が認知した売亜には親権者の「指定」となります。
判例紹介(大阪家庭裁判所堺支部昭和44年7月19日判決)
父が子を認知したときに母は既に死亡していて,父が協議をするにも対立当事者がなく,協議をする機会も余地もあり得ないが,このような場合にも,「協議することができないとき」に当たるとして,協議に代わる親権者指定の審判ができるものと解するのが相当であり,本件では父を親権者と指定するのが相当である。
父が子を認知したときに母は既に死亡していて,父が協議をするにも対立当事者がなく,協議をする機会も余地もあり得ないが,このような場合にも,「協議することができないとき」に当たるとして,協議に代わる親権者指定の審判ができるものと解するのが相当であり,本件では父を親権者と指定するのが相当である。
その場合の,親権者の指定・変更の基準は何ですか?
この点,親権者指定及び変更の基準について,法律では何らの規定もありません。
もっぱら,審判官の裁量に委ねられています。
しかし,法律が,未成年者の監護について親権を後見に優先させており,後見を親権の補充的な制度として定めている趣旨からすれば,潜在的に親権となる資格のあるものが存在するときにおいては,親権を後見に優先させて然るべきものと考えられております。
そこで,認知した父親が実際に,子供の養育に関与してきており,潜在的に親権となる資格があるのかどうかが重要となります。
疎遠な期間が続いており,その間,たとえば祖母が子供を養育してきている等の事情がある場合には,その祖母が後見人となる可能性も十分あります。
ケースバイケースともいえるのが現状ですが,周囲の大人の事情ではなくて,子供の福祉の観点から裁判所が判断することになろうかと思います。
もっぱら,審判官の裁量に委ねられています。
しかし,法律が,未成年者の監護について親権を後見に優先させており,後見を親権の補充的な制度として定めている趣旨からすれば,潜在的に親権となる資格のあるものが存在するときにおいては,親権を後見に優先させて然るべきものと考えられております。
そこで,認知した父親が実際に,子供の養育に関与してきており,潜在的に親権となる資格があるのかどうかが重要となります。
疎遠な期間が続いており,その間,たとえば祖母が子供を養育してきている等の事情がある場合には,その祖母が後見人となる可能性も十分あります。
ケースバイケースともいえるのが現状ですが,周囲の大人の事情ではなくて,子供の福祉の観点から裁判所が判断することになろうかと思います。