[弁護士コラム 26]貸金返還請求のポイント
知人にお金を貸したのに,のらりくらりとして返してくれません。どうしたら良いでしょうか?
知人にお金を貸した場合に,どのように取り立てをしたら良いでしょうか。
まず,お金を貸す場合には,不動産を担保にとるか,或いは資力のある保証人を付けて貰う必要があります。
これらをせずにお金を貸した場合にはいざというときにお金が戻らない可能性があります。
それから,お金を貸すときには,必ず借用書を作成するようにしましょう。
借用書には,@金額,A返済時期,B返済までの利息等をきちんと記入する必要があります。市販の借用書を利用するのも一つの方法です。
相談を受けておりますと,借用書を交わさずに,相手の口座にお金を振り込む例が散見されます。
しかしながら,単に振り込みをしただけだと,金銭を貸し付けたのか,「贈与」したのかがわからなくなります。
借主と貸主との間で,親子関係や男女関係がある場合には,「贈与」ということもありえるので,事態が紛糾する可能性があります。
ですから,貸し付けに際しては,まず,借用書が必要なのです。
もし,貸し付けはしたけど,借用書はまだという方がいらっしゃいましたら,お金を渡した後でも遅くはありませんので,借用書を作成するようにして下さい。
貸し付け後に,支払をしてもらえない場合には,どのような交渉が必要でしょうか?
返済をして貰えない場合に,すぐに弁護士に依頼をして裁判等をすることになるのでしょうか。
この点,相手が支払をしない理由・状況が問題となります。
@支払をすることが出来るのに,理由を付けて支払をしない場合と,A支払をしなければいけないことはわかっているのに支払ができない(資力がない)という二つの場合があろうかと思います。
まず@の場合には,支払をすることができるのに,支払をしないのですから,任意の交渉に応じない場合にはすぐに弁護士に依頼をして提訴することも検討できます。特に法的に,一見もっともらしい理由(別件で損害を被ったから相殺する等)を述べている場合には裁判で白黒決着をつけなければなりません。
また,抵当権や保証人がいて,確実に回収できる場合にも,弁護士に依頼をして提訴等することが良いと思います。
しかしながら,Aの場合には,少し考慮が必要です。
というのは,弁護士等の専門家に回収を依頼すると,その費用がかかってしまい,それでも相手から回収できないとすると,足が出てしまい,「泥棒に追銭」の様な状態になる可能性もあるからです。
その場合には,60万円以下なら少額訴訟手続き,その他の場合は通常訴訟となりますが,ご自身で裁判をやることを検討すると良いと思います。
自分で裁判をするといっても,やり方がわからないと思われるかと思いますが,書類を「司法書士」さんに書いて貰えば,裁判自体は(貸した金を返せという単純なものなので),自分でやることも可能です。
かように,相手に資力がない場合には,こちらも回収費用を節約することが重要です。
なお,交渉の結果,分割での返済計画案が出来た場合には,必ず「期限の利益の喪失」条項を入れておくことが必要です。
これは,「一回でも返済を怠った場合には,残額を一度に支払う」というものです。
この約束をしていないと,分割金を怠った場合には,怠った分割金の部分のみしか相手に請求できないことになってしまうからです。
このように資力のない者からの貸金の取り立ては,幾つかのポイントがありますので,注意が必要です。