[弁護士コラム 9]仮差押のメリット・デメリット
仮差押えとはなんですか?
仮差押えとは,簡単に言うと,裁判所の判決が出る前に,金銭的な請求権を保全するために、債務者の財産の処分を禁止する裁判所の決定のことです。
裁判の判決で,金銭請求が認められても,それまでに債務者が預金を隠したり,不動産を処分したりして財産がなくなると,判決も「絵に描いた餅」で,現実に金銭的な回収ができなくなってしまいます。
そこで,裁判の提起前或いは裁判やっている最中に,裁判所に仮差押えの申立をして,相手の財産を「仮に」押さえておいて,判決が出たときに備えておくわけです。
仮差押えは非常に強力な手段ですが,以下のようなメリット・デメリットがあるので,頭においておく必要があります。
裁判の判決で,金銭請求が認められても,それまでに債務者が預金を隠したり,不動産を処分したりして財産がなくなると,判決も「絵に描いた餅」で,現実に金銭的な回収ができなくなってしまいます。
そこで,裁判の提起前或いは裁判やっている最中に,裁判所に仮差押えの申立をして,相手の財産を「仮に」押さえておいて,判決が出たときに備えておくわけです。
仮差押えは非常に強力な手段ですが,以下のようなメリット・デメリットがあるので,頭においておく必要があります。
仮差押えにはどのようなメリットがありますか?
■迅速に手続をすることができます
裁判というのは,提訴してから始まるまで1ヶ月以上かかります。また,裁判自体の期間も長期にわたり,場合によっては数年もかかることがあります。
しかしながら,仮差押は,一週間程度の期間で裁判所が決定を出してくるので,極めて迅速な手続です。
仮差押えは,財産の散逸を防ぐ制度なので,のんびりとしていては,財産の散逸を防止することができず,実効性がなくなるので,裁判所としても迅速な決定をしないといけないことになっています。
裁判というのは,提訴してから始まるまで1ヶ月以上かかります。また,裁判自体の期間も長期にわたり,場合によっては数年もかかることがあります。
しかしながら,仮差押は,一週間程度の期間で裁判所が決定を出してくるので,極めて迅速な手続です。
仮差押えは,財産の散逸を防ぐ制度なので,のんびりとしていては,財産の散逸を防止することができず,実効性がなくなるので,裁判所としても迅速な決定をしないといけないことになっています。
■秘密裏に手続を行えます
仮差押えをするということは,債務者には秘密のうえ行います。
これから仮差押えをしますということを債務者に伝えてしまったら,債務者が財産を隠してしまう恐れが高いからです。
ですから,銀行預金の差押えの場合も,預金の差押えの通知が銀行に届いてから債務者に仮差押えがされたことを伝えることになっています。
かように,秘密裏な手続であることで財産を保全できるのです。
仮差押えをするということは,債務者には秘密のうえ行います。
これから仮差押えをしますということを債務者に伝えてしまったら,債務者が財産を隠してしまう恐れが高いからです。
ですから,銀行預金の差押えの場合も,預金の差押えの通知が銀行に届いてから債務者に仮差押えがされたことを伝えることになっています。
かように,秘密裏な手続であることで財産を保全できるのです。
■債務者へのプレッシャーになります
仮差押えによって,財産の処分が凍結されることは,債務者にとって非常なプレッシャーとなります。
場合によっては,仮差押えの段階で相手方が折れて,和解になることもあります。
銀行預金が押さえられたり,売掛金の入金が押さえられたりすることによって,対外的なイメージも悪化することもあるからです。
仮差押えを行えば,その直後に,相手方から一括で支払いの申し出を受けることも多くあります。
仮差押えによって,財産の処分が凍結されることは,債務者にとって非常なプレッシャーとなります。
場合によっては,仮差押えの段階で相手方が折れて,和解になることもあります。
銀行預金が押さえられたり,売掛金の入金が押さえられたりすることによって,対外的なイメージも悪化することもあるからです。
仮差押えを行えば,その直後に,相手方から一括で支払いの申し出を受けることも多くあります。
逆に,仮差押えのデメリットは何ですか?
■担保が必要です
仮差押えは,相手の秘密に迅速に手続が出来るのですが,そのためには,債権者の主張が間違っていないことの保証として担保金を預けることが必要です。
担保金の金額は,債権額の3割程度が目安ですが,それを現金で用意して,手続きが終わるまで預けておかなければなりません。
ですから,債権の回収ができないことで,自分自身も資金繰りに窮していて,保証金が用意できないという場合には仮差押えの手続は利用できません。
仮差押えは,相手の秘密に迅速に手続が出来るのですが,そのためには,債権者の主張が間違っていないことの保証として担保金を預けることが必要です。
担保金の金額は,債権額の3割程度が目安ですが,それを現金で用意して,手続きが終わるまで預けておかなければなりません。
ですから,債権の回収ができないことで,自分自身も資金繰りに窮していて,保証金が用意できないという場合には仮差押えの手続は利用できません。
■手続が複雑なため弁護士への委任が必要です
仮差押は,自分でやろうとしても,なかなか難しい手続です。スピーディーに裁判所の求める書類を整えなければならず,弁護士への委任は必須といえます。
また,提訴の前に差押えをするので,提訴とは別個に手続に弁護士費用がかかることになります。
仮差押は,自分でやろうとしても,なかなか難しい手続です。スピーディーに裁判所の求める書類を整えなければならず,弁護士への委任は必須といえます。
また,提訴の前に差押えをするので,提訴とは別個に手続に弁護士費用がかかることになります。
■債務者が破産をしたら回収はできない
仮差押えは,財産の散逸を防ぐことはできますが,仮差押えによって,財産に対して優先権が生じるわけではありません。
誤解があるところですが,抵当権のような担保権は,債務者が破産したような場合でも,他の債権者に優先してその財産から債権の回収をすることができます。
しかし,仮差押えには,かような優先権がありません。そこで,債務者が破産したような場合には,他の債権者と平等にその財産から配当を受けるだけです。
ですから,債務者が破産すると,仮差押えの費用と労力は無駄なものとなってしまいます。
そのため,債務者の財産状況をしっかりと見極めて手続をする必要があります。
仮差押えは,財産の散逸を防ぐことはできますが,仮差押えによって,財産に対して優先権が生じるわけではありません。
誤解があるところですが,抵当権のような担保権は,債務者が破産したような場合でも,他の債権者に優先してその財産から債権の回収をすることができます。
しかし,仮差押えには,かような優先権がありません。そこで,債務者が破産したような場合には,他の債権者と平等にその財産から配当を受けるだけです。
ですから,債務者が破産すると,仮差押えの費用と労力は無駄なものとなってしまいます。
そのため,債務者の財産状況をしっかりと見極めて手続をする必要があります。