[弁護士コラム]離婚に直面した場合には?(1)

 はじめに

 我が国では,平成14年がピークで離婚は減少傾向ですが,まだ高い水準で維持しています。特に熟年離婚は,20年前と比較して増加傾向にあります。
 離婚の動機は,性格の不一致,異性関係,暴力が多数となっています。
 かような意味で,離婚は老若男女問わず身近な問題なのです。

 離婚は身近な法律問題であり,財産分与,慰謝料,養育費,親権者,姓の様々な問題が錯綜しています。そのために,きちんとした法律的な対応が必要となります。

 それでは,離婚をするにはどうすれば良いのでしょうか?離婚の手続の問題ですが,離婚を成立させるには6つの方法があります。
 @協議離婚,A調停離婚,B審判離婚,C和解離婚,D認諾離婚,E判決離婚です。
 この中で,圧倒的に多いのは協議離婚です。裁判のうえ,判決まで取得する判決離婚は少ないのが実情です。
 では,手続ごとに順に説明をいたしましょう。

 協議離婚について

 まず,協議離婚についてお話をします。協議離婚は,夫婦がし合い(協議)で離婚することで,離婚届に必要事項を記載し,役所へ提出すればよいだけです。
このときに,離婚届は書いたものの気が変わったらどうしたら良いでしょうか?

 離婚届を提出する際に離婚する意思がなければ離婚は成立しないとされています。しかし,役所は離婚届が出された際に離婚の意思を確認しないので,離婚届の記載が形式的にきちんとしていれば受理されてしまいます。
 そこで,離婚届受理後に離婚の無効を主張するには,家庭裁判所の手続が必要となり,非常に大変なことになります。
かような事態にそなえて,離婚届不受理制度というのがあります。
 離婚届けを受理しないで欲しいという申し出の制度ですが,この届け出を出しておけば配偶者が離婚届を別の役所に提出しても離婚届は受理されません。

 次に,協議離婚の際に決めておくべきことはなんでしょうか?
まずは,@夫婦の財産関係の清算(財産分与)についてです。話し合いがまとまらず,離婚後に裁判所で請求する場合,離婚成立の日から2年経つと請求できなくなってしまうので注意が必要です。
 次に,A婚姻中の配偶者の暴力・不倫等に対する慰謝料請求が考えられます。これについても,3年経つと時効になってしまうので注意が必要です。
 そして,B未成年者の親権者をどちらにするかが重要になります。
 離婚時には夫婦の協議で親権者の決定ができますが,いったん親権者を決めて離婚届を提出した後に親権者を変更するには話し合いではダメで,家庭裁判所の手続が必要になるので注意が必要です。
 それから,C子の養育費の取り決めです。
金額の決定は当事者の自由ですが,家庭裁判所でも用いられている算定表を参考にしつつ決定するべきでしょう。
そして,D親権者ではない親の面会交流の取り決めもする必要があります。面会交流は子供のための権利ですので,この福祉の観点から面会交流のあり方も決定されます。
 では,手続ごとに順に説明をいたしましょう。

 → [弁護士コラム]離婚に直面した場合(2) へ続く






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