[弁護士コラム]離婚に直面した場合には?(4)
財産分与について
財産分与とは,夫婦が結婚生活の間に協力して作った財産を分けることです。
離婚に際しては,財産分与が争点となることが多くあります。
ひとくちに財産分与と言っても,色々な場面で様々な意味で使われているので整理が必要です。
財産分与には,4つの要素があると言われています。
財産分与の手続ですが,裁判所の手続を使わず話し合いで決めるのが望ましい手続です。この場合には,内容を公正証書にし,執行認諾文言を付けるべきです。
しかしながら,話し合いがまとまらない場合には,裁判所の手続を使って決めざるをえません。
この場合には,家庭裁判所に調停を申立て,合意で決める方法,調停がまとまらなかった場合に,裁判官の審判で決める方法,訴訟によって,裁判官の判決で決める方法等があります。
通常は,離婚調停,離婚訴訟の際に,併せて財産分与を請求することになります。
それでは,財産分与の個別のパターンについて,お話をします。
まず,清算的財産分与についてです。
これは,夫婦が婚姻中に形成した財産(名義は問わない)が対象となります。結婚前から配偶者の一方が有していた財産や,結婚前後を問わず配偶者の一方が親や兄弟から相続した財産は対象になりません。
この点,退職金の扱いが問題となります。
すでに退職し退職金が会社等から支払われている場合には,財産分与の対象となります。
退職が間近でほぼ確実に退職金が会社等から支払われる場合には,財産分与の対象となります。
すぐには退職にならない場合には,退職金が支払われる確実性から判断されます。
生命保険については,すでに満期になっている場合には,財産分与の対象となりますが,未だ満期ではなく保険料を払い続けている場合には,財産分与の対象としない判例もありますが,対象とすべきでしょう。
清算の割合ですが,原則は1/2です。これは,妻が専業主婦であっても同様です。もっとも,配偶者の一方が専門的能力等を活用して高い収入を得ていた場合には,それを考慮して割合が調整される場合もありえます。
住宅ローンが残っている場合には,どのように財産分与するかはケースバイケースです。
家の価値がローンを上回っている場合に,いずれかが家を取得し,家の価値からローン残額を控除した額の半分を現金で相手に与え,家を取得した方がローンを払い続けるとするケースもあります。
また,家の価値がローンを下回っている場合,家を取得した者がローンを払い続けるが,他方が子供が成人するまでその家に子供と共に住み続けるとすることも考えられます。
次に,慰謝料的財産分与についてですが,慰謝料の相場は,裁判例では300万円以下が多いのが実情です。 実際には,以下のような様々な要素から判断されます。
なお,財産分与に慰謝料を含んでいなかったり,含んでいても慰謝料として足りない場合は,財産分与と別個に慰謝料請求できます。
→ [弁護士コラム]離婚に直面した場合(5) へ続く
離婚に際しては,財産分与が争点となることが多くあります。
ひとくちに財産分与と言っても,色々な場面で様々な意味で使われているので整理が必要です。
財産分与には,4つの要素があると言われています。
@清算的財産分与
夫婦で築いた財産を分けること(財産分与の基本)です。
A扶養的財産分与
離婚後,配偶者の一方が自活できない場合に認められる可能性があります。
B慰謝料的財産分与
配偶者が婚姻関係破綻の原因を作った場合に認められるものです。
C過去の婚姻費用の清算
婚姻中,配偶者が生活費を負担しなかった場合等に認められる可能性があります。
夫婦で築いた財産を分けること(財産分与の基本)です。
A扶養的財産分与
離婚後,配偶者の一方が自活できない場合に認められる可能性があります。
B慰謝料的財産分与
配偶者が婚姻関係破綻の原因を作った場合に認められるものです。
C過去の婚姻費用の清算
婚姻中,配偶者が生活費を負担しなかった場合等に認められる可能性があります。
財産分与の手続ですが,裁判所の手続を使わず話し合いで決めるのが望ましい手続です。この場合には,内容を公正証書にし,執行認諾文言を付けるべきです。
しかしながら,話し合いがまとまらない場合には,裁判所の手続を使って決めざるをえません。
この場合には,家庭裁判所に調停を申立て,合意で決める方法,調停がまとまらなかった場合に,裁判官の審判で決める方法,訴訟によって,裁判官の判決で決める方法等があります。
通常は,離婚調停,離婚訴訟の際に,併せて財産分与を請求することになります。
それでは,財産分与の個別のパターンについて,お話をします。
まず,清算的財産分与についてです。
これは,夫婦が婚姻中に形成した財産(名義は問わない)が対象となります。結婚前から配偶者の一方が有していた財産や,結婚前後を問わず配偶者の一方が親や兄弟から相続した財産は対象になりません。
この点,退職金の扱いが問題となります。
すでに退職し退職金が会社等から支払われている場合には,財産分与の対象となります。
退職が間近でほぼ確実に退職金が会社等から支払われる場合には,財産分与の対象となります。
すぐには退職にならない場合には,退職金が支払われる確実性から判断されます。
生命保険については,すでに満期になっている場合には,財産分与の対象となりますが,未だ満期ではなく保険料を払い続けている場合には,財産分与の対象としない判例もありますが,対象とすべきでしょう。
清算の割合ですが,原則は1/2です。これは,妻が専業主婦であっても同様です。もっとも,配偶者の一方が専門的能力等を活用して高い収入を得ていた場合には,それを考慮して割合が調整される場合もありえます。
住宅ローンが残っている場合には,どのように財産分与するかはケースバイケースです。
家の価値がローンを上回っている場合に,いずれかが家を取得し,家の価値からローン残額を控除した額の半分を現金で相手に与え,家を取得した方がローンを払い続けるとするケースもあります。
また,家の価値がローンを下回っている場合,家を取得した者がローンを払い続けるが,他方が子供が成人するまでその家に子供と共に住み続けるとすることも考えられます。
次に,慰謝料的財産分与についてですが,慰謝料の相場は,裁判例では300万円以下が多いのが実情です。 実際には,以下のような様々な要素から判断されます。
@離婚原因に関する事情
A慰謝料を請求する者の年齢,職業,資産,負債,収入,初婚か再婚か,再婚可能性,自活能力,妊娠中絶の有無等
B慰謝料を請求される者の年齢,職業,資産,負債,収入,婚姻中の配偶者への贈与,生活費不払いの有無等
C婚姻に至る経緯,婚姻期間,別居期間,子供の年齢及び人数等なお,財産分与に慰謝料を含んでいなかったり,含んでいても慰謝料として足りない場合は,財産分与と別個に慰謝料請求できます。
→ [弁護士コラム]離婚に直面した場合(5) へ続く